たった二行のラブレター

池の畔にある古時計には針がない

数字だけが水に飛び込んで

魚みたいに泳ぎ始める

岩のうえでは

蛙が 自分より大きな欠伸をしている

白い雲がヨットになって

さかさまに浮かんでいる


僕は

糸の付いていない棒っきれで

うとうとしながら夢を釣る

「あの日君に会ってから
君が好きだということを知りました。」

夢の中での一日は

僕の たった二行の ラブレター




4017

テキーラの歌

rkctk2007-01-30

向こうから吹き込んだ風が

僕にささやいた

こないだは楽しかったね

あのコの髪がとっても素敵に笑ってたから

猫がチョコレートを舐めていた

何処からか

あの歌が聞こえ

ラッパの音が飛んで来た

みんな 楽しそうに踊り狂ってた

僕は

石炭ストーブの上でおイモを焼いて

お酒は飲めないけれど

テキーラの歌を歌うんだ

ずっと想い続けてるあの歌を

あの娘にも歌ってあげたいよ





3887

風の色

昨日、風の色を見ていたら

君が通り過ぎていった

君が帰って

君の色ばかりが戻ってくる

カレンダーの空白の色

君が着ていたシャツの色

コーヒーカップの底には

君を見送る僕の色

僕が書いた手紙の色は

風の色








3474

いつまでか しらない

待ってようか

二つの岸辺に灯った未来を

一つに導くように走る冬まで

連絡船も僕たちに似合う季節を探して

船出した

港には 桟橋はあるけど 他に人影はない

僕たちは

透明な 透明な 約束を交わす

いつか 必ず逢う為に









3405