たった二行のラブレター

池の畔にある古時計には針がない

数字だけが水に飛び込んで

魚みたいに泳ぎ始める

岩のうえでは

蛙が 自分より大きな欠伸をしている

白い雲がヨットになって

さかさまに浮かんでいる


僕は

糸の付いていない棒っきれで

うとうとしながら夢を釣る

「あの日君に会ってから
君が好きだということを知りました。」

夢の中での一日は

僕の たった二行の ラブレター




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